読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

東海テレビドキュメンタリーの世界「死刑弁護人」「ヤクザと憲法」

映画

映画館「ポレポレ東中野」で始まった特集上映「東海テレビドキュメンタリーの世界」を見に行ってきた。
以前このテレビ局が作った、名張毒ぶどう酒事件を扱った映画「約束」が衝撃的な内容だったので、他の作品も見てみたいと思い、上映初日に足を運んだ。


今回見たのは「死刑弁護人」「ヤクザと憲法」の二作。


「死刑弁護人」は、和歌山カレー事件の林眞須美やオウム真理教の麻原など、死刑判決を下されるような被告人の弁護を積極的に引き受ける安田さんという弁護士を取り上げた作品。
硬派な内容だったけれど、個人的にはやや肩すかしだった。
様々な裁判がある中で、わざわざ世間の非難にさらされながらも凶悪犯罪者の弁護に力を注ぐ、その人間性に興味を持ったのが見るきっかけだったんだけど、実際の映画は安田さんというフィルターを通して日本の裁判の現状を見る、という観点に重きが置かれていたので、期待していたものとは違う作品になっていた。


冤罪を扱った本や映像作品を見ると、この国って我々が思っている以上にデタラメなんだなと思わずにはいられない。
カレー事件における証拠捏造の疑惑、麻原の弁護を妨害するために容疑をでっち上げて弁護士を逮捕するなど、犯罪者並みにたちの悪い行為を国家権力が平気で行っていることにショックを受ける。
林眞須美が冤罪の疑いが濃いことはこの映画を見て初めて知った。
曰く、冤罪で捕まる人たちは無垢な善人のイメージが強くなるけれど、彼女はそこから大きく外れているからあまり取り上げられない、というようなことを言っていた。



「ヤクザと憲法」は、ヤクザに密着して彼らの日常を取材するという内容で、とにかくよくもまあこんな作品を撮ったなと驚くばかり。
取材者が「今覚醒剤売ってたんですか?」「この中に機関銃入ってるんじゃないですよね?」などと平気で訊いたり、不始末をした下っ端に若頭に制裁を加えようとして別室に入っていったとき、何とカメラも一緒に入っていこうとしたりする(もちろん若頭に止められた)。
作品のテーマとしては「ヤクザに人権はないのか?」ということ。
人権というのは誰にでも平等にあるはずなのに、ヤクザは銀行に口座を作ることができないし、子どもを保育園に入れることもできない。
これって憲法14条「法の下の平等」に反しないか?
ドロップアウトして裏の世界でしか生きていけない人たちに、この国はあまりにも冷たくないか? 
という問題提起を投げかけてくる。
ヤクザがある程度人権の制限を受けることは決して間違ってない。
犯罪者が一部人権を制限されるのと同様、反社会的勢力とみなされた集団なのであれば、力を広げさせないために押さえつけることは必要だと思う。
問題はその線引きをどこにするか。
少なくとも子どもが保育園に入れないのはおかしい。
朝鮮人学校への補助の凍結や給食費未納の子どもの給食を止める問題にも繋がるけど、大人の不始末の責任を子どもに負わせる社会は間違ってる。


規制の厳しい今の世で、こんな過激な作品を東海テレビのある地区では地上波で見られるんだからすごいこと。
もう一作品、どうしても見たい映画があるので、時間を作って足を運ぶ予定。